なんで勉強なんてしなきゃならないんだ…
大人になったらぜってー使わないだろ
中学生はだれでも一度は思ったことがあるはず。
そして、中学生の子どもを持つ親は訊かれて答えに困ったことがあるはず。
「いいから勉強しなさい!」
なんていったところでどれだけの子が納得しているでしょうか。
実際なんで勉強しているんだろう?
そんな疑問に塾講師歴15年の筆者がお答えします。
結論から言うとこちら。
- 国語:考える力とそれを人に伝える力を身につける
- 数学:想像力や発想力を養い、そこから未来を予測する力を身につける
- 英語:自分の知識を知り、それを表現できる力を身につける
- 社会:過去から未来の道しるべを学ぶ
- 理科:身近な現象や危険を察知する知識を学ぶ
少し難しいですね。
1教科ごとに詳しく見ていきましょう。
国語:考える力と伝える力をつける
言葉を知らないと、人は自分の気持ちを相手に伝えることが難しくなります。
「ヤバい」
では、何がどうなのかあいまい。
言葉が足りなければ正確に相手には伝わりません。
身振り手振りで伝わることもあるでしょう。
しかし「空気を読む」文化が色濃い日本ではことさら
「言葉に込めた意味」をくみ取ることは重要になってきます。
また、言葉を知らないと自分の感情の整理も難しくなります。
「モヤモヤとするこの気持ち、これは怒りじゃなくて嫉妬というのか」
「これはイモリ、あれはヤモリ」
知った瞬間から今まで1つだと思っていたものが2つの別のモノとして認識されるようになるのです。
国語を勉強する意味、それは考える力とそれを人に伝える力を養うところにあります。
数学:1つの答えを導き出すための道すじを想像し探る
こんな計算できなくても生きていける!
証明なんて数学のくせに文章書かせるとか意味わからん!
小学校で学んだ「算数」は「リンゴが2こ」「庭の面積は100㎡」「1000円の3割引きは?」など具体的な日常生活で使う数字がメイン。
そのため求められるのは計算の正確性でした。
一方「数学」は抽象的な世界。
負の数や平方根、無理数など実際に目にするのは難しいものが増えます。
「生活に関係ないことなんて意味あるの?」
「何のためにそんなこと勉強するの?」
「大人になってから役に立つの?」
こんな疑問が出てきます。
数学は解き方の違いこそあれど、最終的に1つの答えにたどり着くように出来ています。
「ゴールまでの道のり」を模索することは、いろいろな方法を試して失敗しながら、自分にとって何がやりやすく正解にたどり着けるかを考える訓練になります。
現実世界ではなかなか「正解は1つだけ」ということがないですが、そこへ向かってトライ&エラーを繰り返しながら近づいていくという過程こそ数学を学ぶ意味なのです。
少し難しく言うと
抽象的な数字に触れることで、まだ見ぬ知らない世界のことや日常に体験できないことを論理的に推測し考える力を育むのが数学を学ぶ目的です。
また、上手にすじみちを立てられるようになってくると、これが国語力も上げてくれます。
理路整然と、つまり分かりやすく順序を追って自分の頭の中を整理したり相手に物事を伝えられるようになるのです。
英語:自分の持っている知識で表現をする力をつける
英語を勉強すると世界が広がる、というのが分かりやすい勉強の目的の1つです。
そもそも世界が広がるってどういうことなのでしょう?
中学で習う英語で、そこまでの何かが得られるのでしょうか?
国語と別の言葉を新たに学ぶことによって
- 自分が知っている知識と使える知識を知ることができる
- 自分と世界の常識の違いを知ることができる
- 自分が考えていることを限られた言葉で表現できるようになる
- 文章の要点を掴む力がつく
英語の勉強をしていると、おまけに国語の理解力も向上します。
言葉を多角的に捉える(いろいろな角度から学ぶ)ことができるためです。
日本語と違い英語は結論→理由の順で成り立っています。
日本語:私はこの前の日曜日に友達と公園でサッカーをしました。
英語:I played soccer with my friend at the park on last Sunday.
結論から先に言い、そこにあとから理由や肉付けをしていくほうが分かりやすいため、世界のほとんどの言語はこのような順序で文法が成り立っています。
社会:過去から未来の道しるべを知る
歴史? 終わったことになんて興味ないぜ!
俺は未来を生きる!!
分かります、よく言われます。
しかし今あなたが悩んでいることは過去の誰かが経験していて、その解決策はもう分かっているかもしれません。
過去の成功や失敗が、未来の自分へのヒントや道しるべになってくれる可能性は大きいのです。
経済や政治は将来社会に出て知らないと損をすることも多く、生活に直結しています。
○○は来月新モデルが出てその分安くなるから今は買わないほうが良い。
こういった情報もすべて経済の仕組みに裏付けされています。
社会の仕組みは、詳しければ詳しいほど自分が豊かに暮らせるようになるのです。
過去の歴史が今の経済を作っており…
…難しい話になってしまいました。
理科:身近な現象と危険を察知するための知識を身につける
新しいことに挑戦する時はPDCA(計画→実行→評価→改善)が基本となっています。
- P(Plan) :何を、どこで、いつ、どれくらい…数値を使って具体的に目標を設定
- D(Do) :計画を実行
- C(Check):計画はちゃんとできたか、その結果は良かったか、改善点はあるか確認
- A(Action):結果を踏まえて、計画を中止・変更・改善する
理科の実験はこの学びの基本となっています。
普段の定期テストで例えると
- P:数学のワークを2回やって、テストで80点以上取る
- D:テストを受ける
- C:75点だった。ワークの難しい問題は答えを写しただけで理解できていなかった
- A:分からないところは教えてもらい、自力で解けるようになるまで繰り返す
④の結果を踏まえ、次回の①計画を見直していきます。
これを繰り返すことにより、自分を客観的にみることができるようになります。
もう少し生活に密着した視点で理科を勉強する意味を考えてみましょう。
そもそも理科とは生活そのものなのです。
掃除や洗濯、料理に至るまで、日々の生活に化学はあふれています。
洗剤で汚れを落とすのも、お肉を柔らかく焼くのもすべて化学反応です。
他にも下記のような目的があります。
- 身を守るため
- 騙されないため
- 津波や地震などの自然災害に対応するため
- 生物と共存するため
身近に起こりそうな危険として、家庭用洗剤で「混ぜるな危険」と書かれたものがあります。
こちらは、本当に混ぜると危険です。
戦争で使われる毒ガスの一種である、塩素ガスが発生するからです。
このように、理科を勉強しておくと身を守れることが多くあります。
わかりやすいのは水素水です。
もちろん、水素水自体は有害ではありません。
それで健康や美容を実感しているならば問題ありませんが、業者が消費者に伝えていた効果・効能は理論的に正しい物なのでしょうか?
これは中学生の知識でわかります。
福島原発事故の後にも、さまざまな風評被害が発生しました。
放射線に関する話です。放射線への警戒はすべきでしょうが、疑いすぎるのもどうでしょうか。
サプリメントを含めて、理科の基礎知識を忘れてしまっているせいでムダな出費をしている人たちが少なくありません。
まとめ
どれも大いに結構です。
大切なのは、やると決めたことを投げ出さずに「身についた」と感じるまでやりきることです。
「身についた」と感じるまでやることができれば、その時にはきっと新しい世界が広がるはずです。
そして、身に着けたことは新しく何かを始めるとき、必ず何らかの形で役に立つのです。