2020年開始!新指導要領による中学数学の変更点と学習時の注意点

 

 

学習指導要領の変更とやらで、中学校の数学に変化があったみたい。
文科省のサイトを見たけれど難しくて…要点をざっくり知りたい!

 

本記事ではこんな疑問を解決します!

 

2021年度から、中学では新しい学習指導要領が全面実施されます。

それに伴い2019・2020年度は移行措置として、中学数学の内容が一部変更になっています。

しかし具体的にどこがどう変わったのか、ちょーー分かりづらい!

文部科学省のPDFなんて、数学だけで229ページありますから。

 

ということで、全部読むのは骨が折れるという人向けに、
新たに追加された内容を簡単にまとめました。

 

 本記事の内容

・中学数学の変更点をざっくりと表で見てみる
・各学年で学ぶ内容は?
・各項目の変更点の解説
・指導要領の変更は高校受験に影響する?

 

 本記事の信頼性

本記事の筆者は現役の塾講師。
塾講師歴15年越え。
日々中学生を中心に数十人の生徒を指導しています。

 

中学数学の変更点をざっくりと表で見てみる

 

まとめるとこんな感じ。

【中学数学の変更点】

中学1年生 ・「素数」とは(小5から移動)
・「素因数分解」(中3から移動。素因数分解という言葉は出てこない)
・「平均値、最頻値、中央値、階級」の学習が小学6年生へ
・「累積度数」という用語の追加
・「確率の基本」(中2から移動)
・「誤差、近似値、a×10階乗の形の表現」が中3年へ
中学2年生 ・証明の分野に「反例」が追加
・「四分位範囲と箱ひげ図」の追加
・「確率の基本」が中1へ
中学3年生 ・素数・素因数分解が中1へ
・「誤差、近似値、a×10階乗の形の表現」が中1から移動

 

用語で書き並べると具体的な内容が分かりづらいですね。

1つ1つの細かい内容は下で解説します。

 

より詳しく知りたい方は以下の文科省のサイトでご確認を。

参考)文部科学省:【数学編】中学校学習指導要領(平成29年度告示)解説

 

 

新指導要領の数学;各学年で学ぶ内容は

 

3年間の数学の全体像

 

数と式 図形 比例 データの活用
中学1年生 ・正の数・負の数(素数・素因数分解追加)
・文字を用いた式
・一次方程式
・平面図形
・空間図形
・比例と反比例 ・統計
(確率の基本追加)
(平均値、代表値等削除)
中学2年生 ・文字式の四則計算
・連立方程式
・平面図形と平行線の性質
・図形の証明(反例が追加)
・一次関数 ・統計
(四分位範囲・箱ひげ図追加)
・確率
(基本削除)
中学3年生 ・平方根(誤差・近似値等追加)
・展開と因数分解(素因数分解削除)
・二次方程式
・図形の相似
・円周角と中心角
・三平方の定理
・二次関数 ・標本調査

 

 

表の中の太字の部分が変更点です。

単純な計算問題ではなく、思考力・判断力が必要な問題が増えています。

数学が苦手な子どもにとっては少々つらいかも。

 

学習指導要領;各項目の変更点の解説【中学1年生】

素数・素因数分解の追加

 

素数とは2、3、5、7、11などの、その数でしか割れない数のこと(1は除く)。

今まで小学校5年生でやっていた内容が中学1年生に変更になりました。

また、今までは中学3年生でやっていた素因数分解(自然数を素数の積で表すこと)も追加されました。

 

例)
28 = 2²×7
42 =2×3×7

「平均値、最頻値、中央値、階級」の学習が小学6年生へ

今まで中学1年生の最後ほ単元だった統計から、平均値や最頻値、中央値、階級といった言葉が小学校6年生に変更になっています。
今までも小学6年生では柱状グラフ(いわゆる棒グラフ)や度数折れ線(折れ線グラフ)をしていたので、その範囲に言葉が追加される感じですね。
しかし「統計」の単元がなくなったわけではなく、グラフも再登場します。

「累積度数」という用語の追加

統計の単元では度数や相対度数といった表から割合を出す作業を行います。
統計に新たに1つ追加されるのがこの累積度数です。
詳しくは割愛しますが、各階級の度数を足していったものが累積度数となります。
非常に簡単なので安心して大丈夫です。

「確率の基本」が2年生から中1に

「不確定な事象の起こりやすさ」という名前で、確率の基本部分が中学1年生に前倒しされました。
例題)300回コインを投げ、裏表になった回数をそれぞれ表にまとめました。
100回 45回 55回
200回 97回 103回
300回 148回 152回
この様子を度数折れ線に表しなさい。

 

このような問題が出題されます。

はっきりとした数字が出ていないところから「大体こんな感じになるのではないか」という事を予測する力を早めに付けたいというのが狙いだそうです。

 

確率のこの部分だけやるなんて、なんとも中途半端…。

 

「誤差、近似値、a×10階乗の形の表現」が削除。中3年へ移動に

10年前に追加されてから、中学1年生にとってかなり大変だったこちらが中学3年生に移動になりました。

これ、中1で理解するの大変だもん。妥当だわ。

詳しい内容は後述します。

 

学習指導要領;各項目の変更点の解説【中学2年生】

「四分位範囲と箱ひげ図」の追加

 

中学2年生の最初に追加されたのがこの2つです。

今までは高校生の数学Ⅰにあったもので、中学数学に存在しませんでした。

中央値が使われており、中学1年生の統計の内容の延長です。

簡単なのですがうっかり勉強しそびれそうな、存在の薄い単元です。

 

数学の証明に「反例」が追加

 

反例は数学の証明の単元の中に出てくる「逆が正しくないときの例」のことで「正しくないことの証明」をするときに出てきます。

「AならばBである」の逆は「BならばAである」となります。これが必ずしも正しいとは言えない場合の例が反例です。

なんのこっちゃって感じですね。

例)
「猫ならば動物である」の逆は「動物なら猫である」動物のすべてが猫ではない。よって逆は正しくない。反例は「動物なら犬である」(猫以外の動物であれば何を例にして入れても良い)
でもこれ今までも授業でやっている中学が多いので、新たに追加された感じはあまりないかもしれません。
今までコラムとして載っていたものが、正式に追加されたという感じ。

確率の基本部分が中1へ

確率の中の「不確定な事象の起こりやすさ」という単元が中1に移動になるため、中学2年生の授業では削除されます。
とはいえたぶん、学校でも塾でもこの部分を復習してから確率に入ることになるんだろうね。

学習指導要領;各項目の変更点の解説【中学3年生】

 

素数・素因数分解が中1へ

中学3年生で学ぶ単元の因数分解と展開から、素数・素因数分解が中学1年生に移動になりました。

まあ、あんまり影響ないんじゃないかな?

因数分解をするときに「覚えているかい?」って感じで復習することになるのでしょうね。

 

「誤差、近似値、a×10階乗の形の表現」が中1から移動

厄介なのがこれ。

そもそも「有効数字」の概念がみんなイマイチしっくりこないんですよね。

 

測定や計測で得られた数のうち意味のあるものを有効数字という。
有効数字は整数部分が1けたの小数と10の累乗の積で表す。

 

なんのこっちゃって感じでしょ?

問題が分かりづらいのもあるんです。

 

 

例題)ある数13,407mを次のけた数の有効数字で表しなさい。

1、上から2けた
2、上から3けた
3、上から4けた

 

解答・解説)

1、上から2けたが有効数字なので3けための4を四捨五入する。答えは1.3×10⁴m。
2、4けた目を四捨五入する。答えは1.34×10⁴m
3、5けた目を四捨五入。答えは1.340×10⁴m

 

2番と3番の問題の区別がつきにくいのがこの問題の嫌なところです。

「0」があるかないかが大事。

これは体重計で判断すると分かりやすいです。

 

同じ人が2種類の体重計に乗って体重を測定してみたとしましょう。

体重計A  48.5㎏

体重計B  48.50㎏

 

両方とも同じ体重を表していますが、
この2つの体重計、精度が違うのはなんとなくわかりますか?

体重計Aが100gの位までしか計測できないのに対し、体重計Bは小数第2位つまり10gの単位まで計測できます。

この違いが有効数字です。

どのくらいの数字までが四捨五入していない正確な数字なのか、それを判断するのが有効数字なんですね。

 

この四捨五入した数字と、真の値(実際の値のこと)との差を「誤差」と言います。

そして、大体の値のことを「近似値」というわけ。

 

まあ、ここは受験までに5回説明してようやく定着な部分で、いつやっても大変ではあるので、中3で習うので妥当なのかなと思います。

中3の100%が忘れてるもん。

 

 

まとめ:指導要領の変更は、高校受験にはあまり影響なし

 

結局のところ、学年で内容の移動はあったものの新たに追加された部分はほんのわずかで、
しかも大して難しくないことが分かりました。

注意すべきは、思考力・判断力を問う問題。

今後、単純な計算以外のウェイトが大きくなっていく傾向がみられます。

 

 

焦ることはありませんが、変更点はしっかり頭に入れておきたいですね。

 

では、今回は以上です。

 

おつかれさまでした。

このブログで使っているテーマ「THE THOR」はこちら。

 



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